結論から言うと、Peterson と Cornell Dubilier の組み合わせは良かった。
電解コンデンサーの話題。
当店のプリアンプに採用している電解コンデンサー Nichicon KA や Philips BC は非常に高性能ですが、“そのサウンドに癖はないのか?”と問われると、否定はできません。
どちらかと言うと、 Nichicon KA や Philips BC のサウンドの癖をうまく利用して電気回路を組み上げていく(全体の音を作り上げる)ように使用します。
Cornell Dubilier の場合は、どちらかと言うと『コンデンサーのサウンド』よりも、電気回路を由来とするサウンドの特徴を引き出すような印象があります。
Peterson で採用されている電解コンデンサーは、Gemconです。
Gemcon は台湾のメーカー。
Peterson は1980年代から1990年代に存在したメーカーです。
現代であれば、台湾の電子部品の評価は世界的に高いものですが、20世紀の終わりの頃の台湾では、それほど高品質な電子部品を製造していた印象はありません。
そう考えると、おそらく Peterson はコスト削減のためにGemcon を採用したのではないかと推測されます。
ちなみに Peterson はフィルムコンデンサーに関しては、高品質なPhilips製を採用しています。
Peterson も含めて、アンプの故障の理由に『抵抗器が焼き切れた』という事例を聞くことがあります。
抵抗器が焼き切れる時、抵抗器の故障が原因という可能性も考えられますが、むしろ電解コンデンサーの異常が原因の方が多いのではないかと、経験上、考えられます。
抵抗器は、壊れやすいものです。
だからあえてオーディオの世界では、スピーカーのシステムを組み上げる時に、高音域用のツイーターを組み込む際に抵抗器を取り付ける場合があります。
過大入力があった場合に、ツイーターよりも先に抵抗器が破損することで、ヒューズの役割を持たせたりもします。
いわゆる『ヒューズ抵抗器』に近い使い方です。
あぁ、でもこれは一般的ではない、裏技的な技法かもしれません。
私自身、40年近くオーディオに関わってきましたが、抵抗器が破損したという経験はありません。
それと同時に、低品質な電解コンデンサーを扱ったことも無いので、抵抗器の破損は、電解コンデンサーの品質も関係しているのでは無いかと感じます。
もっとも、低品質な抵抗器も扱ったことはないので、断定はできませんが…大きく間違っているとも思えません。
今回の Peterson の改良で、Peterson らしいサウンドが失われる可能性も考えましたが、結果的には、以前よりも、よりPeterson らしいサウンドになったと感じます。
Cornell Dubilier は、音圧は圧倒的に上がりますが、音質に影響を与えにくいようです。
だから、ヴィンテージ系のアンプの保守&改良用の部品としては良いかもしれません。