わりと知られているようで、実は意外と知られていなかったオリエンテのミニコントラバス。
オリエンテの型番では『MB-〇〇』と表記されている、小型のコントラバスです。
以前、常連さんの楽器を撮影させていただいた写真を使用しています。
う~ん・・・もうコントラバス界(?)で認知度は高いと思っていたのですが、よく考えてみると、私がオリエンテに在籍した最後の数年は、一ヶ月で1本の注文があるかないか、という状況だったので・・・実際のところ、それほど認知度は高くなかったのかな・・・と。
オリエンテには『HB-40 1/2』という小型のコントラバスもあり、『HB-40 1/2』は弦長が900mm(90cm)に対してMBシリーズは弦長が1040mm(104cm)、一般的なコントラバスの弦長である1050~1060mmに近く、持ち替えても違和感なく弾くことができる設計になっています。
開発のきっかけは、その当時、コルスタインやヤマハなど、持ち運びが便利でありながら『実際のコントラバスの演奏性を維持しつつ小型化した楽器』というものが次々と発表されてきた頃、とある演奏家の方からのアドバイスを受けながら製作した、というもの。
私自身との関わりとしては、この楽器は発売前の試作段階から製作に関わらせていただき、親方には色々と提案も受け入れていただいたこともあり、思入れの強い楽器でもあります。
元々、一般的な小型のコントラバス(と言い切って良いものか?)は、ライブなど舞台でのハウリング対策なのか、設計・製作の甘さなのか、楽器自体が鳴らないので、マイクを通して出てくる音は〈楽器の鳴り〉というよりは、むしろ〈弦の鳴り〉が強調されたサウンドになります。
それに対して、オリエンテのミニコントラバスは『このサイズでありながら、どこまで〈鳴り〉を出せるのか?』ということを追及した設計になっているので、実際に弾いてみると想像以上の音量の大きさに驚く演奏者は多いです。
そういえば、しばらく前に、オーナーに写真で見せていただきましたが、この楽器は、トヨタのハイエースの荷台に横向けに載せると、スッポリと丁度いい具合に入ってしまうようです。
“設計段階で『ハイエースの荷台の幅に合わせた』という記憶は無いけどなぁ~。”
と写真を見ながら、オーナーと盛り上がったのですが、これは偶然の産物。
このミニコントラバス、2016年になって仕様変更され、これまでボディの横と裏はカエデの単板だったものを、合板で作られた楽器も登場しています。
この楽器、それが良いか悪いかは別にして、初期型はフラットバック、数年後にラウンドバックに仕様変更もされています。
個人的には自画自賛というわけではなく、純粋に『よくできた楽器』だと思っています。
※写真の楽器は、特別仕様モデルです。