湿度が上がると、弦高も上がる。
湿度が下がると、弦高も下がる。
それを調整する(可変させる)のが、アジャスターという部品。
本日は、そのアジャスターの話。
弦高が高いからと言って、アジャスターを最低位置まで下げると、実は楽器の響きは鈍くなります。
駒の足(下の部分)にアジャスターが触れると、ミュートになってしまいます。
だから、どんなにアジャスターを下げるにしても、紙1枚分の隙間は確保してください。
写真3枚目のグラフは、アジャスターを一番下まで下げた状態で、弦4本の解放弦の音を集音したものです。
さらに写真4枚目は、アジャスターを紙一枚分の隙間を開けた状態で、弦4本の解放弦の音を集音したものです。
低音域はあまり変化を感じませんが、8kHz付近から上の音が、写真4枚目の方が多く出力されていることが確認できます。
1kHz付近から上の波形は、写真3枚目よりも4枚目の方が小さくなっています。
おそらくこれは、不要な共振が少なく抑えられている状態だと思われます。
このグラフを見たとおり、アジャスターを少し上げておいた方が、中音域の音の暴れは少なく、高音域の倍音を豊かに備えています。
すなわち『音程感を感じやすい、音抜けの良い音』ということになります。
弦高が高くなりがちの季節です。
アジャスターは確かに便利な部品ですが、その特性を理解し、うまく活用していく必要があります。
アジャスターを目一杯下げても弦高が高く感じるようでしたら、専門店に相談をして、駒自体の弦高を下げてください。