さて、久しぶりに YAMAHAのサイレントベースの、お話。 私の想像以上に、世の中に出回っているようですが、この楽器の調整や修理は、本来、コントラバス専門店が請け負うべきなのか、エレキベースを専門に扱う店が請け負うべきなのか、そのあたりが不明で、おそらく、その件に関してはYAMAHA自身も明言していないように思います。 ただ、YAMAHAのサイレントベースが発売される前、当時、YAMAHAの担当者がオリエンテに試作品を持ち込んできたのを、私は弾いてみた記憶があるので、一応・・・こういう楽器の調整はコントラバス専門店の領域・・・となるのでしょうか?? 今回、この楽器は修理でも調整でもなく、オーナーからお借りした『SLB200LTD』という特別仕様モデルで、一般のSLB200との違いを勉強させていただきました。 https://jp.yamaha.com/products/musical_instruments/strings/silent_series/slb200ltd/index.html
一般的な『SLB200』と『SLB200LTD』では、構造的には『SLB200LTD』の方が本体の横板が薄く、中の空洞の容積も広いようで、『SLB200』よりも生楽器の鳴りを意識して作られているようです。 電気系に目を向けますと、スペック(仕様)に関してはネット上に掃いて捨てるほど情報があふれているので割愛しますが、分解をしてみると、『SLB200LTD』は、単に『SLB200』には無いアクティブとパッシブに切り替えスイッチが付いているだけではなく、どうもプリアンプの回路自体も少し違うような気がします。 使用されている部品に関しても、謎(メーカー不明)の巨大なフィルムコンデンサーも『SLB200』に搭載されていた記憶は無いですし、電解コンデンサーにしても、Nichicon の工業用コンデンサーの採用は同じですが、“(SLB200には)ELNA の両極性コンデンサーなんて、搭載していたかなぁ・・・・・。” と、私の記憶が明確ではありませんが、『SLB200LTD』の方が、少しハイグレードの部品が採用されているようです。 実際のところ、当店でも過去に『SLB200』の内臓プリアンプの改造を手がけたこともありますが、『SLB200LTD』は、改造した『SLB200』と遜色ない音色を初めから出していているのですから・・・やはりオリジナルでも高性能なのですね。 『SLB200』と『SLB200LTD』に共通して受ける相談としては、“ちょっと出力が弱い気がする・・・。” ということですが、こちらに関しては、強引に電気系に手を入れて出力を上げるよりも、まずはコントラバスと同じように駒を調整することで楽器自体の〈鳴り〉を大きくして、そこから必要であれば電気系に手を入れていく・・・という手順で調整して行けば、あまり『電気的なエレキベースっぽい音』にならずに音を作れるような気がします。 この楽器の調整に関しては、まずは弦楽器専門店へ相談してみるのが、良さそうですね。