ネックとボディの接合部分、6本のボルトで固定されている事についての考察。
コントラバスという楽器で考えた場合、ここまで大仰な接合は必要ありません。 コントラバスの場合は、表板の側で20mm、裏板の側で30〜35mm程度の深さの溝があれば、弦の張力に負けることなく、確実に固定することが可能です。 そういう意味では、この Landscape が6本ものボルトで固定することは無意味です。
この楽器をじっと観察して、自分なりに、この6本のボルトの意味を考えました。
そして調べてみて、わかったこと。
まずは、この楽器の形状、この形状はオリエンテのミニコントラバスと似ていて、駒がボディの下の方に付いているので、弦の振動を駒からボディに伝えようとした場合、どうしてもボディ上部まで振動を伝えきれません。
そのあたりはオリエンテのミニコントラバスを製作するときにも色々と考えたものですが、この Landscape は6本のボルトによって、駒からボディ上部へ振動を伝えにくい問題を解消させているようです。
写真にはボディにマスキング・テープを貼った状態で撮影をしましたが、実は、このテープより上部には、楽器内部にブロック(木の塊)が入っているので、空洞ではありません。
むしろ『駒からの振動が伝わりにくい(空洞)部分』を思いっきりよくカットして、そこにブロックを埋め込み、6本ボルトで強力に固定することよって『ネック側からの振動を確実にボディに伝える』という構造になっています。
この構造には、感心をしました。
この Landscape という楽器は、コントラバス的(ヴァイオリン的)振動伝達方法(駒・魂柱・バスバー)と、エレキベース的振動伝達方法(6点ジョイントボルト接合)をミックスさせた設計の楽器、というわけです。
なかなか練られた設計の楽器ですね。