ご来店されたオーナーの方々に、 “情報料は・・・必要無いのですか?” と、特に電気系の機材や、それに合わせた楽器の調整方法について質問を受けた時に、意外と多く『情報料』について質問も受けますが、当店、特にそのような料金システムは、ございません。 どんなに専門的で経験や知識が必要な難しい答えであっても、あくまで雑談の範囲内だと考えていますので、そこで特別料金を徴収しようとは思いません。 もっとも、“情報料は必要ないのですか?” と、オーナーが言ってしまうということは、世の中の楽器店が演奏者に対して必要な情報を提供していない・・・という可能性も否定できない、ということになるのですが・・・。 ということで、最近、気がついたこと。 コントラバスのピックアップ・マイクの代名詞的な、超有名な、あれ。 『FISHMAN BP-100』って・・・もしかしたら、駒の裏側に取り付けるのが、(駒の)構造的に適切なのでは? という、お話。
そもそも、『FISHMAN BP-100』は、駒の表(上側)に取り付けるのか、それとも裏側(下側)に取り付けるのか、それを FISHMAN の公式サイトで確認すると、どうも駒の表側に取り付けるのを推奨しているようですが、よく考えてみると、駒の表側よりも裏側の方が平面精度が高く、『FISHMAN BP-100』は薄い鉄板(正確には圧電素子)ですので、駒の表側よりも、裏側に取り付けた方が、効率よく音を拾えます。 というのも、写真のように、駒の表側は、先端に向かって微妙に膨らみを出すような、曲線に削ることで音の響きを作り出す関係上、『FISHMAN BP-100』に最適な『平面!』は存在しません。 むしろ、(一般的には)削ることもなく、平面を維持された裏側の方が、取り付けには最適なのではないか、と考えました。 圧電素子(ピエゾ素子)のピックアップは、振動を受ける際に密着度が低いと低音の成分を作ることができずに、高音ばかりが強調された音になる傾向があります。 そのため、平面精度が低い表側よりも、平面精度が高い裏側を使用することで、効率的に低音を拾うことが可能です。
さらに、駒の構造上、駒の裏側は、表側よりも弦の圧力が強くかかっているので高い音の倍音成分が少なく、そいういう意味でも、どちらかといえば高音に寄っているピエゾ式のピックアップを裏側に取り付ける利点はあるかと思います。 おそらく、Realist の『SoundClip』というピックアップは、その『駒の表側よりも裏側の方が、(無駄な)高い倍音成分が少ない。』というあたりを狙って、あのような構造(駒の裏側に、ピエゾ素子が当たる)になっているような気がします。 重要なことは、確実に調整されて、微妙な音の響きまでコントロールされた楽器に取り付けてこそ、確実に音の変化を感じられるわけで、未調整の楽器に対しては、そこまで確実に音の変化が感じられるという保証はありません。 とはいえ、特に楽器に負担を掛けるわけでもなく、単純に取り付ける場所を変えるだけですから、気軽にチャレンジしてみてください。