先日、常連さんから譲り受けたコントラバス用ピックアップシステム、B&C acoustic『CP-CB01』を試奏してみました。
これは現行品よりも少し前の世代のピックアップです。
B&C acousticについては、こちら。
このピックアップについては発売当初から噂は耳にしていましたが、じっくりと観察するのは初めてです。
一言で言えば、低音域の成分が多い。
このピックアップの発売は2017年です。
先日、当店のオリジナルプリアンプの設計を変更したという記事を投稿しましたが、当店のプリアンプは2016年頃からの開発ですから、同じような時代に誕生しています。
そのような意味では、当店のプリアンプと同じく、現代に求められているコントラバスのサウンドの流行よりも、少し古い設計である、とも言えます。
ほんの数年前の話ではありますが、あの頃はまだ、とにかく低音域が出ることが要求されていた。
現在は、低音域・中音域・高音域すべての音がバランスよく集音され出力されるピックアップシステムが求められています。
そのことについては、これまで仕事をしてきて、大きく変化してきたことは実感しています。
もしかしたら、現行品では、その辺りの対策をされて改良されているのかもしれませんが、とりあえずこの記事では『CP-CB01』として書かせていただきます。
CP-CB01をメーカー推奨の位置に取り付けてみる。
低音成分が多い。
サウンドに音程感が薄い。
そこで、少し考えてみました。
“これを4弦側ではなく、1弦側に取り付けてみたら、どうだろう?”
それというのも、コントラバスという楽器は、構造的に弦が振動した際には1弦側よりも4弦側に多くの振動が流れます。
Wilson K1などは、その多く流れる振動を集音するわけですが、低音成分が多く音程感の薄いCP-CB01には、その振動が集音するには多すぎる(大きすぎる)のではないかという仮説を立てます。
1弦側で少し位置を探ります。
CP-CB01の集音の特性から考えると、魂柱の横の付近が良さそうでした。
試奏します。
正解です。
低音域から高音域までバランスが良く、明瞭な音程感です。
当店の2本の楽器で実験しましたが、同じ結果が得られました。
楽器によって個体差があるでしょうが、これは物理的な解釈なので、同じような結果が得られると思います。
B&C acousticが推奨する取り付け位置があるわけですから、基本的には推奨する位置に取り付けるべきなのですが、“もう少し音程感が欲しい。”とか“もう少し音抜けが欲しい。”という際には、1弦の魂柱付近の取り付けるという選択肢もあるように思いました。