今回入手したのが『Peterson BASS MASTER P200』というアンプ。 Peterson(ピーターソン)のアンプは、1980年代〜90年代にかけて製造されていたイギリスのメーカーで、確かストロボチューナーで有名な Peterson とは無関係だったように思います。 このアンプを手に入れて、久しぶりに鳴らした Peterson の音色は、私の昔の記憶と全く変わらない、甘く美しい音ですが・・・正直、今の時代には、ちょっと甘すぎて扱いにくいように思います。(解説は、後述で。) 『Peterson BASS MASTER P200』は、使用されているスピーカーユニットが 15inch(=約38cm)で、今回、当店では初めて 15inchのユニットのアンプがやってきました。
私もそうですが、多くの常連さんの意見として、近年の様々な音楽のジャンルでコントラバスは使用されていますが、それを踏まえても『ベースアンプは 12inch(=約30cm)』が音楽環境では最適(≒扱いやすい)ではないのか(?)、ということが指摘されます。 昔は、わりと15inchも定番だったような気もしますが、今回、Peterson を弾いてみると、15inchでは、細かいフレーズを弾いた時に、発音が遅く、また音を再現できずに、ちょっと音が破綻しているような印象を受けます。 簡単にいえば、15inchでは『スピーカー(の直径)が大きすぎて、細かい音に反応ができない(反応が遅い)。』という、構造的な問題があるようです。 当店においては、それを演奏者に体感していただくことも重要なことで、そういう意味でも、これからPetersonは活躍してくれそうです。 当店に、最新の機種ではなく、古いアンプが多く常設されているのは、最新のアンプであれば、当店でなくても大きな楽器店であれば試奏はできますし、『最新』も時間が経てば最新ではなくなります。 それよりも、『時代の流れ(その時代の音楽の文化)の中で、このような音色の機材が生まれた。』ということが体感できて、そこから『過去と現在のコントラバスに求められる音色の違い』を少し意識していただくことで、今(現在)どのような音色が(コントラバス以外の周囲の音楽世界から)要求されていて、その上でコントラバスの弾き手であるオーナーは、自分の表現する世界観を維持しつつも、最終的にどのようなサウンドを求めていくのかという、より具体的な議論を深めるための有効な素材として、古いアンプは非常に強い存在意義があります。
私自身、若い頃から、このPeterson には強い憧れがありましたし、現在でも非常に好ましい音色です。 今回、このアンプを試奏してみて、電気系に特に改良の余地は感じませんし、若干、中高域が強い感触は、ベースアンプにはよくある傾向で、それはキャビネット内部に適切な吸音材を入れれば、音に自然な締り(しまり)が出ると思うので全く問題は無く、そのうち吸音材入れようかと思います。 その吸音材についても、“通常のニードルフェルトよりも、ちょっと奮発してサーモウールなどを使ったら、いい感じに仕上がるかも。” と夢は広がります。