先日、1930年代だと思われる、古いレンズを手に入れました。
焦点距離が90mm・絞り開放f=4.5という、いわゆる中望遠レンズといったところでしょうか?
まぁ、この年代となると、その当時は『中望遠レンズ』という概念すら無かったと思いますが…。
撮影をしてみると、予想通り癖が強い。
ただ癖が強いといっても『Carl Zeiss Jena Tessar』なので、私の手元にある2本のCarl Zeiss Jena Tessarと、描写の傾向は似ています。
これまで私の手元にあったTessarは、1970年代に製造されたものと、1960年代に製造されたものの2本。
今回、それが、ぐっと歴史を第二次世界大戦前の1930年代まで遡りました。
おそらく、元々はモノクロ写真を前提に設計されたレンズでしょうから、モノクロ写真は圧倒的に良い。
ただ、カラー写真になると、非常に独特で、なんとも不安定さを感じる写真に仕上がります。
これは、上手くカメラ側の設定を決められないと、なかなか使いきれないように思います。
古いレンズを現代のデジタル一眼レフカメラで使用するのは、2000年代に興り、流行しました。
フィルムカメラ時代のレンズを、そのまま最新鋭のデジタルカメラで使用する。
なんとなく古い時代を感じるような懐古主義的な意味合いで使用するのであれば、そのままカメラにレンズを装着して撮影すれば良い。
ただ、これを自己表現の道具として、写真芸術の技法として使用するのであれば、カメラ側の設定や、RAWで撮影してから現像技術など、様々な〈技術〉が必要になってきます。
現代のデジタル一眼レフカメラは、現代のレンズを使用する前提で設計されています。
だから、そもそも100年近く前に製造されたレンズで美しい写真が撮影できるような設計にはなっていません。
結局、カメラを上手く調整して、撮影者の〈技術〉で良い写真を作り上げなければならない。
こういう部分、古いコントラバスを使用する際の扱い方に似ているような気がします。
製作されてから100年以上が経つ楽器などは、そもそも現代の技巧的な演奏に対応できるような設計ではない楽器が多いです。
必要に応じて楽器を演奏しやすく改良することも大切ですが、やはり演奏者側の楽器に対する〈理解〉は、大いに求められてきます。
もっと踏み込んで思考をすると、ベースアンプのような電気機器でも、同じような事が言えます。
いつであったか、当店にある古いアンプを試奏した演奏家の方に“このアンプは、いつもと同じように使おうと思うと、音が割れてしまうので使えない。”と言われたことがあります。
それはそうです。1980年代と現代では、そもそも一般的に求められる〈音〉は違いますし、ベースアンプに入力される前段階でのピックアップマイクにしても、エフェクターにしても、全く性能が違います。
その『時代の差』を認識せずに使用をしても、上手く使いこなせるわけがありません。
ところで、このRoland SUPER CUBE-60 BASSですが、近頃このアンプの試奏希望が多いので、常設にしました。
その代わりRoland CUBE-60 BASSが、しばらくお蔵入りです。
このRoland SUPER CUBE-60 BASSの『Markbass化計画』は、Facebook上でも、それほど話題にしてこなかったのですが、意外にも試奏希望が多くて驚いています。
これまで10人以上の方々に試奏いただいて、今のところ全員から『これはMarkbassのサウンドが再現できている。』と評価をいただいております。
これは、Roland SUPER CUBE-60 BASSが、いかに前衛的な思想で設計されたのかが評価されるべきであります。
『SUPER CUBE-60 BASS』は、一般的な『CUBE-60 BASS』とは全く違う電気回路を採用しているので、そのサウンドも全く違います。
興味のある方は、ご来店の際に試奏してみてください。