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昔の話

先日、佐川急便と法人契約をしました。

 これで少し運賃が安くなったわけですが、当店は、積極的に通信販売などをしているわけでは無いので、あまり変化はないと思います。


 遠方から当店オリジナルのコントラバススタンドを注文いただいた際に、ちょっと運賃が安く提供できるかと思います。

 先日、佐川急便のドライバーが飛び込みで営業にやってきました。

 Orienteでも佐川急便とは法人契約をしていました。


 実は数年前に投稿した記事に登場する運送会社のドライバーは、佐川急便の新人ドライバーです。


 彼からは、佐川急便の良いことも悪いことも、よく話聞かされていました。


 今回の営業ドライバーと話をしてみると、今の時代に合わせた部分はあるにせよ、根本的な部分は、25年以上前と、あまり変わっていないようです。


“佐川急便は、昔は法人限定の運送屋だったから宅配業務は無かったのですよ。”

 と私が言うと、若いドライバーは“それは知りませんでした。”と驚いていました。

 今はもう、そういう世代なのですね。


 上記のリンク先の記事にも少し触れていますが、その当時、佐川急便の若いドライバーと二人で軽トラックの荷台に座って雑談をしていると、目の前をヤマト運輸のトラックが通り過ぎて行く。

“あぁ…アイツら(ヤマト)は宅配だから、まるでアリのように走り回っている。俺らは法人相手だから、気楽なものだ。”

 と若いドライバーは話していました。


 もっとも、その数年後には佐川急便も宅配業務を行うようになりましたが…。




 運送屋の昔話といえば…。

 これは私がまだ下働きの頃ですから、25年以上前の話です。

 現代に適応はせずに、あくまで昔話として読んでください。



 その当時、Orienteでは、3つの運送会社と契約していました。

 私は楽器の出荷の手配などの事務仕事も担当していたのですが、親方からは

“絶対に、それぞれの運送屋同士の顔を合わせてはいけない。”

 と厳命を受けていました。



 まだ、運送屋のドライバーの多くが気性が激しく、荒い性格の人間が多かった時代です。

 私が仕事を始める10年ほど前までは、

“京都の四条河原町の大通りで、佐川急便とヤマト運輸が(集荷する)荷物を奪い合って殴り合う。”

 という光景は日常茶飯事であったと、聞かされていました。


 そのような時代ですから、『西濃運輸 15時』『佐川急便 16時』『ヤマト運輸 適時』のように決めて、絶対に顔を合わせることがないように時間調整をしていました。



 それでも…何かの間違いで顔を合わせてしまった場合は…精一杯の笑顔で、双方のドライバーに気を遣います。



 いつであったか…。

 どこの運送業者も、基本的に午前中に配達をして、午後に集荷をする。


 その日は時間に余裕があったので、午前中に西濃運輸で発送する楽器を準備して、荷造りを完了して置いておきました。

 そこに、佐川急便の、いつものドライバーが配達に来る。


 夕方、佐川急便のドライバーが集荷に来た際に、午前中に置いてあった楽器がないことに気がついて、

“なんでウチの方で出荷してくれないの?!”

 と不機嫌になりました。

 私は、それを一所懸命に“次は、この埋め合わせはするからさぁ。今回は勘弁してよ。”と、なだめながら、

“あぁ…もっと、しっかりと段取りを組み直さなければ…。”

 と考えたことを思い出します。


 運送会社によっては、集荷した数や運送料金が営業ポイントとなって、そのドライバーの翌年の給与に反映されるので、『集荷できる・できない』は死活問題です。




 Orienteでの下働きというものは、単純に雑用係というわけではなく、そのようにして〈社会〉を学び、段取りや気遣いを身につける時期でもありました。





 今回の飛び込み営業に来たドライバーと話をしていて、そんなことを思い出したので、

“そうか、そうか。ウチの店としては、あまり貢献できないけれど、君の営業ポイントになるなら、法人契約をしてあげるよ。”

 と、若いドライバーの営業を受け入れました。



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