こんな世の中なので、仕事の仕方が以前と少し変化しています。 日頃ご来店いただいている、特に本職の演奏家との話題の中で『インターネット配信でのコントラバスのサウンドについての考察』のような議論が活発になってきました。 このような問題は、結局のところ再生装置の種類(携帯電話であったり、本格的なオーディオシステムであったり)や性能に依存するわけですが、当店には小型・中型・大型の3種類のオーディオシステムが常備されているので、実際に試聴しながら相談が可能です。
インターネット配信において、職人側の課題は、いかに弦4本の音量を音質を揃えることができるのかという問題。 これは電気的にイコライザーやコンプレッサーを使用して処理することは可能ですが、それを使用すると、アコースティックなサウンドが失われてしまう。 楽器本体の響きの問題もあります。 マイクを使用しない状態で“心地よい低音の響きだ。”というサウンドが、機材を通して聞いてみると音程感のない不快な低音になってしまう場合もある。 これも音響機材で処理することは可能ですが、コントラバスという楽器のサウンドの質感は失われます。 だから、楽器の調整技術で、楽器の響きを自在にコントローする技術が要求されてきます。 まぁ、基本的に、これまでやってきた調整方法と変わらないわけですが、『作業精度』という意味では、格段に高いレベルの技術が必要になっています。 これまでは、ご来店いただいている演奏家の方々の演奏をインターネット配信で視聴することは少なかったですが、最近は、積極的に試聴をして、実際に、どのようなサウンドが出てきているのかを確認するようになりました。 ライブ映像などのインターネット配信は、まだまだ未発達な部分もあるので、興味深く見守りながら、演奏家を支援していきます。